「資金調達手段を検討しているんだけど、銀行融資とファクタリングってどっちが良いのかわからない。」
これは、資金繰りに悩む経営者様からよく聞かれる質問の一つです。
どちらも資金調達手段となるものですが、いまひとつちゃんと理解して利用している人は少ない印象。ということでこの記事では、銀行融資とファクタリングの違いについて徹底解説していきます。
どちらを利用すれば良いかわからないという人はぜひ参考にしてみて下さいね!
目次
銀行融資とファクタリングの違い比較表
まずはわかりやすく、銀行融資とファクタリングについて表にまとめてみました。
銀行融資 | ファクタリング | |
調達時間 | 1週間〜1ヶ月 | 最短即日〜数日 |
審査項目 | 自社の信用リスク | 売掛先の信用リスク |
資金調達コスト | 2〜6%程度 | 2〜10%程度 |
保証人 | 必要 | 不要 |
担保 | 必要なことも | 不要 |
リコース | 無し | 無し |
違いがあるのは「調達時間」「審査項目」「資金調達コスト」「保証人・担保」の4項目となります。ファクタリングの方が調達時間が短いですが、資金調達コストが高くなりがちという特徴が見て取れますね。
銀行融資ではなくファクタリングを利用するメリット
ここからは銀行融資とファクタリングを徹底比較していきます。まずは銀行融資ではなくファクタリングを利用するメリットから見ていきましょう!銀行融資よりファクタリングの方が優れている点ですね。
売掛先の信用リスクを審査するため、自社の財務状況は審査なし!
銀行融資とファクタリングの大きな違いは、信用力を調査する対象です。
銀行融資の場合、資金調達を行おうとしている会社の財務状況を審査して回収に問題ないかを確認します。一方、ファクタリングの場合には対象となる売掛先の信用力を審査することになります。
そのため、ファクタリングでは自社の財務状況は関係なく、
「売掛先が健全かどうか」
で資金調達の可否が決まります。
自社の財務状況はファクタリングでの資金調達とは無関係ですので、
- 赤字決算で将来計画が描けない
- 債務超過に陥っている
- 税金や従業員給与を払えない
- 銀行審査に通らない
- 借入金をリスケ中
といった場合でも、資金調達を行うことが可能です。
迅速な資金調達が可能!
銀行融資の場合には、行内の審査プロセスなど、時間がかかることが多く、即日資金調達することはできません。
一方、ファクタリングの場合には、以下の必要書類を揃えておけば、即日資金調達することも可能です。
- 決算書:直近2期分(税務申告済の押印のあるもの)、
- 試算表
- 過去・直近の取引・入金が確認出来る書類
- 取引先との基本契約
- 会社謄本
- 成因資料:注文書・契約書・発注書・納品書・請求書など1案件につき2点
- 入出金の通帳
- 納税証明書
ファクタリングは担当者が人力で審査を行うため、即日資金調達をしたい場合には、できるだけ早めにファクタリング会社に相談をするようにしましょう。
今後の銀行融資への影響なし!
ファクタリングは「借入」ではなく、「債権譲渡」であるため、今後の銀行融資への影響もありません。
特にノンバンクからの借り入れを行った場合には、信用力が低いというレッテルを貼られてしまい、今後の銀行融資に影響が出てしまいます。
ファクタリングを行っても、「売掛債権を譲渡した」という記録しか残らず、今後の銀行融資審査で不利になることもありませんし、融資限度枠に影響を与えることもありません。
財務諸表に与える影響はファクタリングの方が有利!
ファクタリングを利用すると、財務諸表のスリム化につながりますので、ROAやROIなどの各種指標が良くなるというメリットもあります。
銀行融資による資金調達の場合、バランスシート上は、「現金」が資産の部に計上されるとともに「借入金」が負債の部に計上されますね。
一方、ファクタリングにより資金調達を行なった場合には、「現金」が資産の部に計上される一方、資産項目である「売掛金」が減少することになりますので、負債が増えず、バランスシートはスリムになります。
保証人や担保が不要!
ファクタリングの場合には、連帯保証人や担保が不要というメリットもあります。
借り入れの場合には、社長自らが連帯保証人になったり、自身が保有する土地や預金を担保として取られてしまうことがありますが、ファクタリングは債権を売却して終わりの一回ポッキリの取引なので、保証人や担保を要求されることはありません。
経営者自身のリスクを回避することができるのもファクタリングを利用する大きなメリットですね。
ファクタリングではなく銀行融資を利用するメリット
続いて、ファクタリングではなく銀行融資を利用するメリットを見ていきましょう!ファクタリングより銀行融資が優れている点ですね。
手数料が安い!
ファクタリングではなく、銀行融資による資金調達を行う一番のメリットは、手数料が安いということです。
手数料相場を見てみると、
- 銀行融資:2〜6%程度
- ファクタリング:2〜30%程度
と圧倒的に銀行融資の方が手数料が安いんですね。特に取引先への通知が不要な2社間ファクタリングの場合には手数料が10%〜30%にもなりますから、利用は慎重にならざるを得ないですよね。
場合によっては売上金額以上の借入も可能!
銀行融資の場合は、資金調達企業の信用力次第ですが、場合によっては売上以上の借り入れを行うことも可能です。
一方、ファクタリングの場合には、売掛金を譲渡することで資金調達を行う手段ですから、どんなに多くても売掛金以上の金額を調達することはできません。
多くの資金を安い手数料で調達したい!という場合には銀行融資を利用する必要があります。
ファクタリングと銀行融資のどっちを選ぶかの判断基準
ファクタリングと銀行融資それぞれのメリットを比較しながら説明しました。どちらを選べば良いかまだ決められないよ!という人のために、どちらを選べば良いかの判断基準を3つ紹介していきます。
1.調達したい金額は売上債権より多いか少ないか確認する
調達したい資金金額以上の売上債権がなければファクタリングを利用することはありません。
しかも通常「掛目」といって、100の売掛金全額を買い取ってくれることは少なく、大抵80くらいを買い取ることになりますので、調達希望金額を大きく上回る売上債権を持っているかを確認しましょう。
- 十分な売上債権がある→ファクタリング
- 十分な売上債権がない→銀行融資
となります。
2.資金が必要な緊急度を考える
資金が今すぐ必要なのか、1週間から1ヶ月程度は余裕があるのかという資金需要の緊急度を考えましょう。
ファクタリングは最短即日から数日以内には資金調達をすることができる一方、銀行融資の場合は行内審査がある関係で1週間から1ヶ月程度はかかるケースが多いです。
- 今すぐ資金が必要→ファクタリング
- 少しは時間的余裕がある→銀行融資
となります。
3.自社が銀行審査に通る財務状況かを検討する
3つ目の判断基準は「自社が銀行審査に通る財務状況か」を冷静に検討することです。ファクタリングは売掛先の信用力を審査しますので、自社の財務状況とは無関係に資金調達をすることができます。
しかし銀行審査の場合には、自社の財務状況が大きな判断要因となり、
- 赤字決算で将来計画が描けない
- 債務超過に陥っている
- 税金や従業員給与を払えない
- 銀行審査に通らない
- 借入金をリスケ中
といった場合には銀行借り入れは難しいでしょう。
- 自社の財務状況が良くない→ファクタリング
- 審査に耐えうる財務状況である→銀行融資
となります。
この記事のまとめ
最後にこの記事をおさらいしましょう。
まとめ
- 銀行融資ではなくファクタリングを利用するメリット
・売掛先の信用力を審査し、自社の財務状況は審査なし
・迅速な資金調達が可能
・今後の銀行融資への影響なし
・財務諸表に与える影響はファクタリングの方が有利
・保証人や担保が不要 - ファクタリングではなく銀行融資を利用するメリット
・手数料が安い
・売上金額以上の資金調達も可能 - ファクタリングと銀行融資の選択基準
・調達したい金額は売上債権より多いか少ないか確認する
・資金が必要な緊急度を考える
・自社が銀行審査に通る財務状況か検討する
ファクタリングの場合、手数料負担が重くなりますが、今すぐ資金が必要、銀行借入が見込めないという場合には非常に重宝する資金調達手段です。
どちらが優れているかというよりは、状況に応じて柔軟に資金調達方法を考えるということが資金繰りのためには重要になってきます。
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